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活動報告

2009年11月11日 のアーカイブ

2009年11月11日(水)

[ 活動報告 ]

11月11日。

 視察の二日目は山形県新庄市で福祉施設とメーカーが連携し廃トレーのリサイクルを行う山形・新庄方式リサイクルシステムの構成事業体となるNPO法人「たんぽぽ作業所」、しょうがい福祉サービス事業所「友愛園」そして「株式会社ヨコタ東北・アメニティーセンター」を訪問しました。そこで循環型社会の推進のためどのような努力が行われているかを理解し、福井県の産業政策としての環境問題解決の参考にするというのが視察の目的です。

<たんぽぽ作業所>
 指導員の星川あけみさんにお話を伺いました。同施設はこのリサイクルシステムにおいて廃トレーの回収と分別を担当しています(ヨコタ東北社の製品のみを扱っているわけではない)。集められた廃トレーは表面に貼ってあるシートがはがされ、色や形状で5種類に分別されます。
(写真左:5種類の分別 中:はがせる表面シート 右:分別作業)
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この作業を同施設にて行っていることも背景に同施設の一人当たりの工賃は2万円弱と相当高いレベルになっています。

<友愛園>
 園長の高橋聖一氏にお話を伺いました。たんぽぽ作業所で分別された廃トレーは友愛園に持ち込まれ、2台の破砕機により原料となるペレット(ビーズ)が作られます。この2台の機会はヨコタ東北より無償貸与を受けたものであり同施設のコスト構造にとって大きなメリットとなっています。同施設の定員は40名、内7名がこの作業に従事しているとのこと、この作業を受託する前は一人当たりの工賃は6、7千円だったが、この作業を始めてからは3万円弱と大幅な増加が見られた。同作業に関わる人員が施設利用者全体の一部分でしかないことを考えるとこの作業が同施設の収益源として非常に大きな部分を占めていることがわかります
(写真左:機械に投入される廃トレー 中:製品となるペレット 左:現場責任者に話を伺う私)

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<ヨコタ東北株式会社・アメニティーセンター>
 同センターの案内係、柴田いずみさんにお話を伺いながら、同社工場と併設されたアメニティセンターを案内していただきました。センターの玄関で我々を出迎えてくれたのは同センターのマスコットキャラクター「みみぃちゃん」でした。センター全体がみみぃちゃんのイラストや小物で飾られ、小さなテーマパークといった印象を受けました。お子さんにリサイクルがどのように行われているかをしっかり理解してもらうために違和感なく入れ、時間が過ごせるようこのような形態を取っているそうです。

友愛園で製造されたペレットはこの工場独自で廃トレーから生産されたペレットと共に原料となり新たにトレーが生産されます。
 同社のリサイクルトレーはリサイクル原料から生産した層をバージン原料から生産した層でサンドイッチし、その表面にはがせるシートが蒸着されているということで、全体で4層構造になっています。バージン原料による新品層がリサイクル層をサンドイッチしているのはリサイクル品が何度も何度もリサイクルされて劣化することも予想され品質保持のために表面は新品層で覆う形にしているとのことでした。製品全体の原料のうち8割がリサイクル原料から、残りがバージンの原料から生産されるとのことです。このような多重構造となることにより製品の価格は従来品より2,3割高くなるため、見込み客からいいものではあると認識はあるも導入には至らないケースが多いというのが現在の課題であるとのことでした。
 バージン原料がkg当たり約150円に対し、友愛園から買い取る原料が約半分の7、80円ほどと安いが、一般のリサイクル原料が40円ほどなので福祉施設から買い取る単価は破格の値段と言える。このことや機械の無償貸与などに同社が福祉施設を支援していこうという強い姿勢が伺えます。
(写真左:みみぃちゃん 右:廃トレーからペレットを作る工程)
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(写真左:トレーを打ち抜く工程 右:同社製品を利用した商品)
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 同社を伺って感じたことは企業とはどうあるべきかという企業倫理の強さでした。企業も利益が上げられ、福祉施設も潤い、循環型社会も推進できるというWin-Winの形を模索している同社ですが、現状は従来品の収益をこの不採算のリサイクルシステムに当てているという印象でした。連携している福祉施設に負担を掛けることなくこのシステム自体から利益を生み出すことは、特に現状のような不景気の環境下では至難の業だとも思え、この問題の解決には行政の関与しかないのではという感想を持ちました。このような環境をテーマとし、福祉施設への支援を企業への支援で間接的に行うことにより、産業、環境、福祉を総合的に支援する施策になり得るのではないでしょうか。

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
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