HOME > 活動報告

活動報告

雑感

2012年7月6日(金)

[ 雑感 ]

7月6日。

マイクロソフト・ネットワーク(MSN)のトップページにタイトルの記事が載っていました(http://sankei.jp.msn.com/politics/topics/politics-14775-t1.htm

内容を転記いたしますと。。。

消費税増税法案をめぐり政界で混乱が続いている。社会保障と税の一体改革を目指す野田総理に対し、衆院の採決では72人が造反。民主党は分裂した。こうした中、「国民の皆さんが納得しない」「増税は民意に背く」などと言い出す議員まで現れた。愚の骨頂である。そもそも、政治家は政策決定において、安易に民意に従ってはならないのだ。政治家は有権者の御用聞きではない。政治家がやるべき仕事はただ一つ。議会で議論することである。移ろいやすい民意、熱しやすい世論から距離を置き、過去と未来に責任を持ち、冷静な判断を下すことである。わが国の将来にプラスになるなら増税すべきだし、マイナスになるなら阻止すべきである。

その際、民意は関係ない。

 「民意に従う」「国民の判断を仰ぐ」ことが正しいなら、すぐにでも議会を解体して、すべての案件を直接投票(民主主義)で決めればいい。現在では技術的にそれは可能だ。しかし同時にそれは、政治の自殺を意味する。直接投票で物事が決まるなら知性は必要なくなるからだ。

(中略)

マッカーシズムとベトナム戦争を痛烈に批判したウォルター・リップマン(1889~1974年)は、ジャーナリズム論の古典「世論」で民意の危険性について分析している。「なぜなら、あらゆる種類の複雑な問題について一般公衆に訴えるという行為は、知る機会をもったことのない大多数の人たちをまきこむことによって、知っている人たちからの批判をかわしたいという気持から出ているからである。このような状況下で下される判断は、誰がもっとも大きな声をしているか、あるいはもっともうっとりするような声をしているか(中略)によって決まる」

 平成17年8月、郵政民営化関連法案が参議院で否決された。首相の小泉純一郎は激怒し「国会は郵政民営化は必要ないという判断を下した」「郵政民営化に賛成か反対かを国民の皆様に問いたい」と言い衆議院を解散した。これは憲政史上類例を見ない暴挙であり、わが国の議会主義が死んだ瞬間である。職業政治家の集団である参議院の判断を無視し、素人の意見を重視したのだから。

 この20年にわたるメディアの《民意礼賛》がおかしな政治家を生み出している。橋下徹大阪市長は「僕が直接選挙で選ばれているので最後は僕が民意だ」と、二言目には民意を持ち出し、自己正当化を行う。これはナチスのアドルフ・ヒトラーが使った独裁のロジックとまったく同じものだ。歴史的に見て、デマゴーグは常に民意を利用する。リップマンが指摘したように、ステレオタイプ化した世論、メディアが恣意的(しいてき)につくりあげた民意は、未熟な人々の間で拡大再生産されていく。政治家の役割は、こうした民意の暴走から国家・社会・共同体を守ることである。(てきな おさむ)

国民の皆さまからすれば「将来を見通せる信頼すべき政治家がいない!」「民意は常に正しい!」というご批判もあろうかと思いますし、的外れな批判でもないと考えています。

ただ、前に働いていた金融機関で株の運用をしていたときに、アメリカの有名なアナリスト(企業の財務や営業状況を分析し企業を評価する人)がこんなことを言っています。「企業を調査する際、コンセンサスは大体外れている。そして、コンセンサスが外れた場合、株価に与えるダメージは通常よりはるかに大きい」と。

自らの見識や調査にもとずく信念をもたず、いたずらに民意に迎合することは政治家としての職務を放棄していることになると思います。自分の思いが、もし民意的コンセンサスから外れる場合、政治家が持っているデータや情報は一般の方より豊富なはずです。これらのデータ/情報をしっかり説明し納得頂くことが政治家のアカウンタビリティー(説明責任)ではないのかな。。と考えている次第です。

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
PAGE TOP

2011年11月24日(木)

[ 雑感 ]

11月24日。

先日の新聞報道(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/31642.html : 福井新聞11月22日)で太陽光発電を県の補助金を利用して設置した家庭(ふくいひまわりくらぶ:961戸)における発電量(CO2削減量)を集約化し、排出権を購入したい(排出枠を確保したい)企業に売却する制度のスタートが発表されました。

 実は似たような制度に従前から「ふくい版カーボンオフセット制度」という制度がありまして、要は、企業から排出枠として排出権を買って頂き、その資金と同額の県の予算をつけ、森林整備などCO2削減事業に充てようというものです。この制度ですが、実はいわいる排出権取引とはかけ離れており、お金を頂いて実施する事業により何トンのCO2が削減されたかの認証も受けていないし、資金の出し手となる企業もその資金の提供で何トンCO2が削減されたかも自社の削減量の中でカウントしていないというものでした。
 要するに「排出権取引」を匂わせながらも、単に環境活動への寄付を募っているだけ、というのが私のイメージです。実際、頂いた資金の多くの割合はアサヒビール社様からの資金で(平成22年度:354万4688円)、例のCMとかでもよくやっている1本1円の事業からのものです。
 まぁ、環境事業にご寄付が集まっているという意味ではいい事業とも言えるのですが、排出権取引という「市場」や「環境」という両方を経験している私からすると?が頭の中にいくつか浮かんでくるわけで、そのことについてちょっと書いてみます。

 今回の「家庭クレジット売却事業」(私が勝手に命名しました。。。^^;)は経済産業省の「国内クレジット制度」(http://jcdm.jp/)の枠組みで行われるようですが、家庭におけるCO2削減量の総計をその国内クレジット制度の中で認証を受け、経済価値として確定させるという意味では先ほどの「ふくい版カーボンオフセット事業」より一歩進んだものにはなっていると評価します。ただ、それだけにこの「家庭クレジット売却事業」には以下のような課題があると考えています。

1.CO2削減量(排出権クレジット)の確定
  現在、ふくいひまわりくらぶに加入しているご家庭、1件、1件その削減量を確定するめの審査、認証を受けて頂くのかという課題があります。これは実際問題不可能なことですのでサンプリングにて認証することにはなると思いますが、その為には削減量の確定の精度を上げるためにかなり緻密な算出手順の確立が必要となります。
 この点について、CO2削減量(クレジット)の認証機関の友人に聞いてみたのですが、961戸全ての太陽光発電のメーカーが同じという場合ならそれほど負荷はないと思うが、それがまちまちだとクレジットの確定(認証)には相当大きな労力が必要となるとのことでした。実際、「国内クレジット制度」のホームページには太陽光発電を利用した場合の削減量の算出方法が掲載されていますが(http://jcdm.jp/process/data/008_v5.pdf)、正直私にはさっぱりわかりません(^^;。
 なぜ私がこのクレジットの確定に神経質になっているかというと、企業としてはこの不景気の中、排出権利を購入するわけで、買ってみたら実はそれだけの量はありませんでした、となれば損害賠償にまで発展し、そのリスクは福井県が取ることになると思われるからです。お金にまつわる話は厳しいのですよ(^^;

2.クレジットの売却
 報道では1000戸で総計480トン、1トン当たり1500円として約70万円の収入を目論んでいるようですが、取らぬタヌキの。。。で、本当に売却できるのかが心配です。現在、国内の排出権取引制度は乱立している状況で、先の経産省の制度のほかにも環境省も独自の制度を打ち出しています(なんで、同じ国内で省によって違う制度を打ち出すんですかねぇ。。。これも縦割りの弊害?^^;)。また、東京、埼玉などの自治体では管内の大手企業にCO2の削減義務を科し、できない分は排出権の購入を指導しています。問題なのは制度が乱立し、それぞれの制度のクレジットはその制度の中でしか有効でなく、相互認証はまだ行われていないということです。報道の中ではその売却先として「環境活動に熱心な県内企業」を中心に働きかけるとありましたが、CO2削減義務のない中小企業の多い福井県で、このクレジットを購入頂く企業が出てくるのかな? また、福井県への寄付のつもりで購入、にならないかなと不安です。
 実はこの「国内クレジット制度」、ほとんどの案件は計画の段階からクレジットの購入先を特定して申請するものですが、今回の福井県の場合、購入組織が「特定非営利法人エコプランふくい」となっています。この組織は県内の環境活動を後押しするNPOですが、補助金による太陽光発電の普及の仕事もされているようです。別にCO2の排出量が特段多い組織ではないと思うので排出のクレジットを購入するのも違和感があるわけで、とりあえず購入者として挙げているのか、そのNPOを通して企業へクレジットの転売を考えているのか、県からも大きな補助金や事業委託がなされている組織なので、結局はクレジットの購入分は県が肩代わりするのか・・・ 疑問です。

3.設置者へのメリット
 この制度がスタートしますと、太陽光発電の設置者は実際の発電量の報告等少なからずお手数をおかけするわけです。また、実際に削減していただきクレジットを生み出すのは一般家庭ですので、クレジット売却分の何%かは設置者に還付したらいいのではと考えるのですが。。。  そのほうが、設置を検討している家庭にもインセンティブになるのではとも考えます。

以上、思うままに書きましたが、原子力発電によるCO2削減が微妙な状況の中、CO2を削減しようという取り組み自体は重要なことだと思っています。その手法として「排出権取引」を利用するのであれば、目新しい概念だから飛びつくのではなくて、その制度の本質を理解して純粋にその制度を利用する形で進めてほしいものだなというのが正直な感想です。 この制度の進捗、今後もフォローしてゆきます。

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
PAGE TOP

2011年6月29日(水)

[ 雑感 ]

6月28日。

注目の東京電力株主総会が行われました。

最も注目されたのは一般個人など402名による原発事業撤退の議案に対する採決でした。結果は賛成8%、反対89%、棄権・無効3%で否決されました。この議論(採決)は過去毎回行われているもので前回の賛成票は5%でした。

この報道をご覧になった方は5%から8%へたった3%しか上昇していないとお思いだと思いますが、東電のような時価総額(発行済株式数×株価)がとてつもなく大きい企業の株式総会の採決で3%動くというのはとても大きなことだと考えています。

下に東電の主な株式構成を記載しましたがトップの信託銀行で4%強保有されています。多分(想像で申し訳ないのですが。。。)今回の議案の提出者である402名の保有株主合計はこの4%強に満たないのではと考えています。

株主名

所有株式数(単位:千株)

持ち株比率(%)

     

日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)

59,845

4.42

第一生命

55,001

4.07

日本マスタートラスト信託銀行(信託口)

54,850

4.05

日本生命

52,800

3.90

東京都

42,676

3.15

三井住友銀行

35,927

2.66

みずほコーポレート銀行

23,791

1.76

東京電力従業員持株会

22,179

1.64

SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT-TREATY CLIENTS

17,627

1.30

日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口4)

16,405

1.21

     

381,104

28.17

 

 また、ここで掲げられている大株主は機関投資家と言われるもので経営方針にはよほどのことがなければ口出しをせず東電株からの配当(電力やガスなどは公益株とよばれ基本的に配当利回りが高い)や株価上昇で利益だけを追求するためにだけ株式を保有しているので今回のような案件でも東電の収益の柱であり、発電コストの安い原子力発電に対し否定的な案に賛成することはあり得ないと考えています。
 特に第一生命、日本生命の生命保険会社2社は安定株主として株を保有する代わりに巨大企業東電の企業保険・年金、社員の方々の個人保険をもらってますので、サイレントパートナーとして口出しすることはまずないと思います。

確かに今回の評決に対しCSR(企業の社会的責任)の観点から「大株主は何を考えてるんだ!」的なご批判もあろうと思いますが、彼らの役割期待は利益の追求なので、やむを得ないことかなと考えています。

株主総会は資本主義市場における典型的なステージですので、原発は危ないからやめろという感情的な論理は介在しないという点が顕著に表れた事項だと思っています。

脱原発を議案として提出した株主の方もこういったことを理解し、

「今回のような事故は企業の収益性に著しい悪影響を及ぼした。そのリスクの大きさは低コストの原子力発電の収益性のプラスを大きく上回るマイナスである。だから自然エネルギーの開発と低コスト化を進めるべきだ」

という経済的論点で数字を用いて攻めていくべきではなかったかなぁという印象を持っています。
実際にそういう論拠が出されていなたらすみません。。。(^^;

本日午後、関西電力の株主総会が行われます。筆頭株主の大阪市は9.7%の株式を保有し脱原発を打ち出している自治体ですが、株主総会で原発撤退を議案として出す気はないとしているもののその投票は福井県にとっても注目すべき点だと考えています。他株主から脱原発の議案は出されると思いますので大阪市はどういう投票を行うんでしょうねぇ。。。 個人的には自治体というのは企業にとって理解があることが多いので反対に回るんじゃないかなぁ。。。。  楽しみです。

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
PAGE TOP
  • 福井県議会
  • 福井県
  • 自由民主党
  • 越前市