HOME > 活動報告

活動報告

2009年11月10日 のアーカイブ

2009年11月10日(火)

[ 活動報告 ]

11月10日。

 私が副委員長をさせていただいている厚生常任委員会の二日間の視察、初日は福島県郡山にある「南東北がん陽子線治療センター」とにお邪魔しました。

 陽子線によるがん治療施設としては福井県でも平成22年度末までに開設が予定されている「福井県陽子線がん治療センター(仮称)」がありますが、この施設の視察を通してセンター運営上重要なポイントや施設運営上の先進的な取り組みを理解し、福井県における施設運営上の参考にしたいというのが今回の訪問の目的で、センター長の不破信和氏、及び診療放射線科技師長鍵谷勝氏にお話を伺い、施設の案内をしていただきました。

 同施設は昨年10月にオープンし、日本で現在6箇所ある陽子線がん治療施設の中の唯一の民間施設であります。県市などの支援は受けていないものの、現在、なんとか採算割れをしないレベルのペースで稼働率を保っているが、基本的に現状の環境下でこれが伸び、病院グループ全体の収益に大きく寄与することを期待してはいないとのことでした。最先端医療の取り組みは病院全体のステータスがあがることになると考えている。
 陽子線による治療は従来のX線によるものと比べ、がん細胞のDNAの鎖を破壊する効果が強く、その元となる放射線をがん細胞にピンポイントで当てることができ、他の臓器にダメージを最小限に抑えた形で治療が行えるのが特徴です。
 同センターの患者の内訳は、福島県内が47%ともっとも多く、東京、埼玉、宮城がそれぞれ6%とそれに続いています。また、現在までの329症例を部位別に見ると頚部がんが110と最も多く、肺58件、前立腺44件、消化器27件、食道27件と続いています。一般的に動く臓器、胃や大腸には効果がないと言われているが、ケースによっては利用できる価値が十分あり、他の療法と併用して行うことによる効果が見込める場合もあるとのことでした。

dscn0286 dscn0262

(写真下:田村委員長によるご挨拶とセンター長の不破氏)

dscn0266 dscn0264

 同センターの治療のメインとなる施設は、1台の水平陽子線照射機と2台の回転ガントリー式陽子線照射機です。前者は主に前立腺がんの患者の治療に利用され水平方向にのみ陽子線の照射が行えます。後者は文字通り回転させることができるのが特徴で、90度回転する診療台との組み合わせで最も効果の高く、他の臓器にダメージを与えない方向から照射が行えます。元々直進性のある陽子線を水平方向に照射させる水平照射機に比べ、陽子線を磁力で数度方向転換させ照射させる回転ガントリー式照射機は大掛かりな施設となります。

(写真上段:水平照射機とその裏側の機材 下段回転ガントリー式照射機とその裏側)

dscn0274 dscn0278

dscn0280 dscn0282

 以下、委員会メンバーとの質疑応答の内容です。
Q:現状での最新鋭の技術なのか。アメリカではもっと進んだものもあると聞くが・・・?
A:現状、安定した技術で治療法として信頼できるという意味では最新鋭のものと考えている。確かに、研究段階ではもっと進んだ技術も考えられるが、治療として利用できる段階にはないと考えている。

Q:保険適用施設との表示があったが、陽子線がん治療には保険適用されるのか。また、治療の費用はどれくらいか?
A:入院やCTなどの施設については保険適用されるが、陽子線治療そのものには現在適用はない。部位や期間にもよるが治療に掛かる費用は300万円ほど。

Q:現在の稼働率と採算ラインは?
A:オープン当初はトラブルもあったが現在はほぼフル稼働に近い。年間400~450件が採算ベースであり、現状はそのレベル。キャパシティーから考えてこれが今後、現状の施設で大きく伸びることはないと考えている。このような取り組みにより病院全体のイメージが向上、有名になり全体の患者数が増えることを目指してゆきたい。一般会計の繰り入れのある福井県立病院では300件ほどで採算ラインに乗るのではという印象を持っている。

Q:地理的なマーケットをどのように見てるか?
A:東北一円と北関東となろう。福井県立病院については金沢大学とのつながりが強いと聞いているので北陸一円がマーケットとなりうる。

 センター長との話から、先駆者としての自信と誇りが伺え、信頼性の高い施設であるという印象を強く持ちました。県内の施設利用者には県にて補助を行うことも有効ではないかとのアドバイスも頂け、有意義な視察となりました。福井にも早く陽子線によるがん治療を受けたいとセンターのオープンを待ちわびている人もいるわけで、1日も早い開設を望んでやみません。

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
PAGE TOP
  • 福井県議会
  • 福井県
  • 自由民主党
  • 越前市