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活動報告

2011年11月14日 のアーカイブ

2011年11月14日(月)

[ 活動報告 ]

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11月14日。

php研究所主催による標題のセミナーに参加いたしました。

平成15年に法改正により新設された指定管理者制度ですが、8年を経過した今でもその本質的な理解がされず、十分に機能していないというのが現状のようです。今回のセミナーでは管理受託事業者のサイドからその課題についての説明がありました。

講師は一般社団法人指定管理者協会の事務局長、岡部禎之氏(写真左)と神奈川大学特任教授の南学氏(写真右)です。

内容的には・・・・

現状の指定管理者制度の課題は大きく運営が始まるまでの課題(公募~指定)と運営中の課題に分けれらる。その項目として以下のものがあげられる。

○地域の縛りが強く広く公募できていない
「主たる事業所が存在すること」や、厳しい例は「代表者の現住所が存在すること」など、地域要件が強く本当に実績のある指定管理を低コスト、高機能で行えるのか不安である。

○評価の基準と配点の事前公表がない
指定管理者制度の目的は「サービスの向上」と「経費の削減」であるが、実際的には経費圧縮のみの目的で公募されているというイメージである。その管理施設の行政としてのビジョン(市民サービスのためその施設を今後どのような役割を担っていく施設にしてゆきたいか)、そしてそのビジョンをどうやって実現してゆくかの事業者のミッション(使命)を明確にすることが必要である。このビジョン、ミッションの打ち出しは評価基準の明示によって行われるものとなろう。

○選定後の変動要素
選定が決定し協定書を結ぶ間に新たな業務が提示され、費用は既に確定していると伝えられたり、本来なすべき法定点検等のコンプライアン項目が過去なられておらず、費用算定から外れていたり、決定後にも関わらず提案額から値引きを要求されたりと選定後に事業者へマイナスとなる項目が出てくる。

○既存団体との引き継ぎ
既存管理組織と新規受託事業者との引き継ぎの期間が十分に取られないケースも散見される。たとえば既存組織の契約期間の最終日の夜12時まで一度も事務所に入れず、その時まで鍵も渡されないケースや、引き継ぎの最終日に確認した書類、データが翌日にはなくなっていたなどである。これらは利用者に不利益を与えることになりそのことを理解していないことから起こる。引き継ぎは少なくとも2カ月は必要である。

○監査における人件費チェック
企業として教育・研修により安い労働力で最大の効果を引き出すのは当然であるのに、サービスの状況を一切フォローせず事業計画より少ない実人件費支払額だと人件費を搾取し利益をむさぼっているとの指摘を受けることがある。

受講しての所感を述べると。。。

指定管理制度上の現状の課題について細かい点が理解できたと感じているが、若干、受託事業者としての「愚痴」を聞いている感も否めなかった。しかし、事業者のインセンティブ(意欲)を削ぐことが蔓延すれば応募者がなくなるわけであり、この制度の根幹が揺らぐ結果になるので企業努力が事業者のメリットとして還元される仕組みの構築は重要であると考える。
 応募資格の地域性については確かに都会の大規模企業にとっては上記の課題も理解できなくはない。しかし、地方自治体において地元優先は大きなテーマであるため、地域性の配慮と指定管理効果のバランスよく両立することが大切である。評価基準もあいまいなまま自治体の外郭団体が指定管理を受けているケースもよくあり、公募に際して評価基準を明確にすることは透明性の確保からも必要であろう。
 現行の指定管理が経費圧縮に偏っている状況は財政難という環境下でいたしかたないとも考えるが、指定管理制度の本質は民間の自由な発想により同じコストで市民サービスを向上させる、言い換えればCS(顧客満足度)を高めることにあるのも事実である。従って施設管理委託についてはその施設のビジョンとそれに応じる事業者のミッションを行政サイドで明確にすることは最も重要であることが理解できた。また、この部分が現行の指定管理者制度の最も大きな課題と言えるのではないだろうか。

 

コメント [0]  トラックバック [0] 投稿者 : 宮本 俊
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